園長先生のコラム

4月のこらむ (2017年04月03日)

私は、40歳頃人生の危機というものを意識しました。それは今までの生き方が揺さぶられたり、問い直されたり、価値観が崩れ去りそうになる時なのです。そこで私は人生のグランド・ツアーを計画しました。グランド・ツアーとはヨーロッパの人々があこがれの地イタリアに人生の大旅行をすることだと何かで聞いたことがあり、その旅をすることで自分を見つめなおしたり大切な転機とするというようなことを聞いたことがあったのです。

そこで私は思い切って、行きました。その旅の一つがスコットランドの小さな島アイオナ島でした。一週間の修道院滞在中、滞在者たちで海岸に出かけ、そこで自分の重荷を小石に託し、海に投げ込み、あるメッセージを牧師さんから聞きました。それはここから出発すること、その行き先は、「あなたにしかなしえないことのために、あなたを必要としている場所」へ。

時々思い出すのです。私にしかなしえないことって何だろうと。今もよくわかりません。ただ、私にとってこのグランド・ツアーは必要なことだったと思うのです。時々思い出して、自分を見つめることが出来る、そのことが私が再び歩き始めることを可能とするということを、思い出すのです。人生のグランド・ツアー、それは誰にとっても必要だと思います。

子どもたち、そしてご家族のみなさんも、人生の危機というものが訪れるかもしれません。そして訪れてもいいと思います。その時、何かを思い出せたり、大切な出会いが用意されていると信じることが出来たり、大切な場所を訪れてみようかとふと思い出してもらえたらと思います。そしてその場所が聖三一幼稚園であってほしいし、聖書の言葉であってほしいし、お友だちや先生方、ご家族のみなさんの笑顔であってほしいなと思います。

数日前、この4月で中学3年生になる卒園生に、「幼稚園のこと覚えてる?」と聞いたら「覚えてない」と言っていました。しかし、幼稚園の思い出は、その人の最も深い記憶の中でその人を支え祝福し続けるのです。いつか幼稚園の思い出を、思い出せない時が来たとしても、自分に与えられている使命を意識するような素敵な出会いが必ずあるという「復活」の記憶が、園に関わるすべての人の心に受け継がれていきますようにと祈りつつ、新しい年度を始めたいと思います。