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7がつのコラム (2016年07月01日)

「こどもたちのお庭を作る」

幼稚園をキンダーガルテン(こどもたちのお庭)と言います。このお庭は色々と長年の思いが込められた作りとなっていて、80年を越える聖三一幼稚園には先人の思いが込められた草木が沢山あります。私は6年前に幼稚園にやってきて、そこにある草木を当たり前のように感じていましたが、最近、お庭作りは、一朝一夕にはいかないということを感じさせられています。10年、20年、100年。もっと長い時間の流れの中で、お庭は作られていくものだなあと感じ始めました。私が小さい頃、家のお庭で遊び込みました。そこには色とりどりの花が咲き、季節ごとに違う草花が存在を輝かせ、朝は木々が吐き出す新鮮な空気が家を包み込んでいました。

そんなことを思い出しながら、31年前、自然の中で生き延びるための「冒険図鑑」という私の好きな本を書いた、さとうち藍さんの「武市(ぶいち)の夢の庭」という本を最近手に取る機会がありました。北海道滝上町で「陽殖園」というお庭を作り続けている武市さんの物語です。まだとても小さな時、具合が悪くなっておんぶされて病院に向かう途中、道端の花をねだり、ようやくピンクの花を見せると「うん」といって、握りしめたという。『そしたら武市はそれをずっと離さないのさ。病院に行って注射を打たれようが、何をされようが、その花をずっと握ったままだったね』とお母さんのナミさんが語っています。武市さんが握りしめたピンクの花は、バラ科の可憐なホザキシモッケでした。陽殖園の写真を見ると、何とも素朴で、それでいて武市さんの思いが詰まったお庭を感じます。

武市さんの言葉が印象に残ります。「植物がそこで自分で生きていける方法、それをいつも考えているんだ」。どんなお庭なんだろう、どんな色の花が咲いているのだろう。どんな景色なのかなあ。私ならどんなお庭がいいだろう。そんな夢を描かせてくれる武市さんの夢のお庭。

私は武市さんという、とってもお花が大好きで、お花や草木と共に生きておられるその方の姿から、一人一人の個性や色彩を放つ個々の存在の大切さを教えられるような気がします。決して同じものを同じようには植えない。個々の違いを見極め、大切にするお庭。武市さんのお庭に終わりはありません。完成もないのかもしれません。

私は、幼稚園というお庭、そしてやがては旅立っていくその地域や世界。そのすべてが子どもたちの素敵なお庭であればと思います。武市さんの言葉を心の中で思い巡らします。「植物がそこで自分で生きていける方法、それをいつも考えているんだ」。私は、それを神様の泉が一人一人の子どもたちの中にあることと、親御さんや仲間や他者、そして神様の祈りが愛情となって子どもたちにいつも降り注いでいることを心に留めます。

子どもたちの夢のお庭作り、みなさんとご一緒に作っていきたいと思います。


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