ちゃぷれんの広場

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9がつのコラム (2022年09月01日)

なんにもしないこと

高地 敬

ディズニーのアニメ。すいません、もう一つ。『くまのプーさん』です。プーさんとクリストファーロビンが100エーカーの森を散歩しながらお話しています。クリストファーロビンは学校に上がることになるのでプーさんに、「ぼくのこと忘れないって約束してくれるかい」、「約束する」、「ぼくの代わりになんにもしないってことをしてくれるかい」、「もちろん。でもなんにもしないことって、どうやってやるの」、「プーのおばかさん。」これでこのシーンは終わっていたと思います。

「きかんしゃトーマス」はイギリス国教会(イギリス聖公会)の司祭さんが原作者ですが、トーマスたちのセリフで、「役に立つ機関車」という言葉がよく出てきます。機関車なのでちゃんと役に立たないといけないのですが、クリストファーロビンが言っているのは全く逆のことです。「なんにもしないこと」をする。座禅のように無の境地になるのでしたら、かなり難しいのですが、そういうことでもない。クリストファーロビンは、「なんにもしないこと」がもうできなくなると考えています。「なんにもしないことをする」、つまり「役に立たないことをする」ということだと思います。子どもの特権かも知れません。それをプーにしてほしい。「役に立たないこと」をするのはとても面白いことだから。

大人は役に立つことをしようと頑張ります。また、子どもが役に立つことをすることを期待します。でも役に立つことは子どもにとっては面白くないことが多いでしょう。「役に立つことには価値がある」という考えを持っている私たちは、「役に立たないことには価値がない」と考えてしまいがちです。そんな大人になってしまった私たちに、「100エーカーの森にたまには帰っておいで」と呼び掛ける声が聞こえてきたらいいなと思います。