2がつのコラム (2026年02月01日)
❀チャプレンのコラム❀
「へだたり」
私たちは、「人」と「人」との関係性において、生かされている存在だと言えます。誰も一人だけでは生きていくことはできません。困っているとき、思い悩んでいるとき、誰かに手を差し伸べてもらえたなら、どんなにうれしいことでしょうか。そこに感謝の気持ちが芽生えます。逆に、誰かに必要とされ、その人に手を差し伸べることができたなら、それも自然と喜びが湧き起こるものです。
日本近代文学を研究されておられる安藤宏さんが、ある本の中で、太宰治の文学に触れながら、現代に生きる私たちに向けて、の必要性を、あえて強調しておられました。もちろん、「人」と「人」との関係性において、他者との協調性が大事になってくるわけですが、それでもなお、他者との「へだたり」が必要なのだと言います。
というのも、「人間は皆同じものだ」、「皆と同じようにしていないといけない」といった強迫観念に囚われ過ぎてしまうと、「自分」というものが周囲に埋没してしまうからなのでしょう。それは、とても息苦しいことなのだと思います。
安藤さんは、むしろ「皆と同じようにできない」、そのような周囲からの疎外感や他者との違いによって、本当の自分らしさ、自分の個性が育まれていくのだと説いています。
チャプレンのコラムで、何度かお話させていただいたと思いますが、聖三一幼稚園では、これまで「キリスト教保育」を基盤として歩んでまいりました。「キリスト教保育」において、子どもたちに一番伝えたいこと、それは「神さまは、私たち一人ひとりのことを愛しておられる」ということです。突き進めて言えば、神さまは、「皆と同じようにできない」そのようなありのままの「あなた」のことを大切にしておられるのです。
この神さまの愛によって、他者との協調性と共に、お互いの「ちがい」を認め合うコミュニケーションの術を、園の生活を通して、子どもたち一人ひとりの中に育まれていくことを願っております。